nana’s green teaアミュプラザ鹿児島店

2020/鹿児島

「白薩摩と黒薩摩」

株式会社七葉は「抹茶」という切り口から、「新しい日本のカタチ」を世界に発信している会社である。
良質の抹茶を、抹茶ラテなど現代的にアレンジしたメニューで提供している。
そして、その店内に求められる空間は「和風」ではなく「現代の茶室」である。
それは、オーナーの言葉を借りれば”日本に昔からある茶文化を現代的な解釈で楽しめる店”をつくりたいという思いの表れである。

利休はもてなす側の主人ともてなされる側の客人の関係を「茶室の中では対等な立場である」と定義し、「貴賎平等」という言葉で表現した。

鹿児島には身分の差を表す薩摩焼という伝統工芸品があり、その多様な種類の中に、藩主に向けた白薩摩と大衆に向けた黒薩摩がある。白薩摩は乳白色で貫入があり華やか、黒薩摩はシンプルで色が際立つ造りになっている。

そこでnana’s green tea 鹿児島店では、抹茶の文化を広く大衆に広めたいというブランドアイデンティティーを表すため、白と黒が入り混じるを表現する。
実際には、貫入のある白の磁器タイルとシンプルな黒の磁器タイルだけで構成された茶室をつくった。

また、目地には茶杓にも使われる事が多かった木材を使用し、クールな空間の中にも温かみを感じる要素を貫入した。

デザイナー：吉田昌弘・石井嘉恵
写真撮影：宮本 啓介

竣工　2020年4月
住所　鹿児島県鹿児島市中央町1−1
設計期間　2019.11.10-2020.12.20
工事期間　2020.2.19-2020.4.20
延べ床面積　129.61㎡
施工会社　株式会社 友建