WORKS
WORKS TOP  >  2019 - 京橋千疋屋 上野店
京橋千疋屋 上野店
東京 / 2019

「網目」

京橋千疋屋は創業100年以上の老舗果物専門店である。

どの果物も最高の品質を提供するために厳しい品質管理と厳選へのこだわりを持っているが、特に、マスクメロンに至っては、一つの茎に一つの果実になるまで間引く「一茎一果」栽培をしている。

そして、メロンの網目は成長過程で内側から圧力がかかり、表皮が圧力に耐えられず、ひび割れ、内側の果汁がそれを塞ぐようにでき、網目が左右対称で盛り上がりくっきりとしているものほど品質が高いと言われている。

そこで、今回は、千疋屋のこだわりをメロンの網目に重ね、それを木やガラス、化粧板など様々な素材に落とし込み、空間に意匠として施していくことを試みた。

また、果物にとって色とは、食べ頃がわかるように鳥や動物に見つけやすい色になっているように重要な要素である。

果実が十分肥大して、内部の種子がだんだん充実してきた頃になると、果実に色が付いて、柔らかくなり、、甘くなり、大変良い香りがしてくる。
色が綺麗な果実や良い香りは、鳥や動物に見つけてもらいやすく、果実を食べてもらい、結果的に内部の種子をより遠くに運んでもらうためである。

そこで、美味しさや品質の基準となる色を可視化させ、同時に千疋屋のブランドカラーを表現することが出来ないかと考えた。

実際には、メロンを包む際に利用する桐箱をモチーフに天井に格子箱を作成しその内側に銅板色を施した。

銅板は、ピカピカ輝く状態は最初の数ヶ月で、半年もすると光沢感は落ち着いてき、更に数年経つと、暗い褐色・黒褐色へと変化していく。
落ち着いた褐色は数十年続き、更に年月が経つと、緑青色へと変化する。
このように、千疋屋のブランドカラーである緑青色と、風化の過程を同時に見せることによって、創業百余年の長い歴史を表現した。



デザイナー:吉田昌弘・堺大紀・渡邊穂野香
写真撮影:宮本 啓介