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nana's green tea 廿日市店
広島 / 2015

「炉を切る」

株式会社七葉は「抹茶」という切り口から、「新しい日本のカタチ」を世界に発信している会社である。
良質の抹茶を、抹茶ラテなど現代的にアレンジしたメニューで提供している。
そして、その店内に求められる空間は「和風」ではなく「現代の茶室」である。
それは、オーナーの言葉を借りれば"日本に昔からある茶文化を現代的な解釈で楽しめる店"をつくりたいという思いの表れである。

茶の湯の歴史は、日本における建築の歴史と共に歩まれて来た。
平安時代の貴族は寝殿造りという、建物と庭とが一体となった住宅様式を作り上げ、屋内の生活が快くなるにつれて座敷の文化が誕生した。
室町時代には、茶会や連歌などの室内芸能が盛んに行われるようになり、その室内に、唐物と呼ばれる中国から渡来する美術工芸品を飾る棚を設え、客を迎える生活形式、これに基づいた住宅様式、書院造りに進展した。
この時代では、茶を点てる点前座と客座は別室で、違う部屋で点てた茶を、客のいる座敷へ運んでうやうやしく献上していた。
それがやがて、広間の一角に炉を切って茶が点てられるようになり、主人と客との距離が縮まっていき、茶の湯の侘びという精神性を備えた文化として発展していくと、茶室はついに独立した部屋となった。

ナナズグリーンティーゆめタウン廿日市店では、広い空間に炉を切り、「茶を点てて客にふるまう空間」の原点回帰を試みる。

実際には、空間の中心に四角い空間を切り取り、精神的に境界を感じさせる空間をつくる。
また、間仕切りには場所性を考慮し、厳島神社の朱赤の柱を潮の満ち引きと共に表現した。

私は此処を、茶室の中心である炉に見立てることで、現代の茶室を表現した。

写真撮影 宮本 啓介